Q. 家族信託を利用する側での最大のメリットは何ですか。
【解説】
家族信託には、広く知られている「委任契約」「成年後見制度」「遺言」の各機能の良いところが含まれています。
それぞれの制度を利用するにはそれぞれに別の手続きを必要としますが、家族信託では、1つの信託契約の中にそれらの機能を盛り込めることが最も大きなメリットといえます。
つまり、契約締結とともに委託者は財産管理を受託者に委ねることになります。
そして、その後、委託者が病気や事故、認知症等で判断能力を喪失したとしても、一切影響を受けずに受託者による財産管理が遂行できるため、成年後見制度の後見人による財産管理の必要がなくなる可能性があります。
また最終的に、委託者の相続が起きた後、誰にどのような財産を遺すといった遺言で書くべきところを信託契約で遺しておくことで、預けていた財産の承継先が指定できるため、遺言の機能も持っているといえるのです。
知識を深めよう
受託者を信託銀行や信託会社というプロに指定する信託のことを「商事信託」といいます。
商事信託は業務行為ですので、預かる費用(信託報酬や手数料)が発生します。
一方、家族信託は、受託者に信頼できる家族を指定しますので、受託者に対する高額な報酬や手数料は基本的には発生しません。
商事信託は適切な受託者がいない場合などで活用に利点がある半面、信託業法等の枠内という制約があります。